連載 吉井子の冒険 (11)
作:しみずせい (11)
「地下にはね、特別な展示物があるのよ。」と吉井子は言った。
「オーナーが特別に集めたのだけど、公開はしたくないっていうことで、常設展には置いてないの。だけど私は一度だけ見たことがあるの。おばあちゃんが連れてきてくれたのよ。」
「そこには何があるのですか?」と政孝は聞いた。
「レコードなの。でも、何のレコードだったのかは小さなころに見たからよく分からない。だけどそれはもう沢山のレコードがあって、壁一面に綺麗にしまってあるの。その中から何枚かを抜き出して聞かせてくれた。聞かせてくれたのはオーナーの梶田さんよ。」