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ルイス・カーン設計 フィッシャー邸の新しいオーナー

ルイス・カーンって知ってますか?

 こんにちは、店長のしみずです。今日のお題は、ルイス・カーンという建築家が設計したフィッシャー邸という個人の家です。

 カーンは、建築界では巨匠として扱われていますが、小さな公共住宅から建築設計の経験をスタートしています。戦争を挟んで仕事がない時期も多く、社会性の高いローコスト住宅を供給する社会派の建築家としての実績が多分にあるのです。この点が、店長としてはかなり興味のあるところです。イェール大学で設計したイエール大学アートギャラリー(1951年 - 1953年)の時にすでに50才、実質的な建築界のデビュー作兼代表作ともいえるペンシルベニア大学リチャーズ医学研究棟(1959年 - 1965年)は、なんと58歳の時です。なんとも遅咲きの巨匠と言えるでしょう。それまでに取り組んだ様々なプレファブ住宅やローコスト中の研究は、あまり資料がないですが、むしろこちらの活動の方がとっても興味ありますね!

20世紀最後の巨匠と言われるルイスカーン

 ルイス・カーンは、エストニア出身で、両親のがアメリカに移住したためにアメリカに移りました。特に、アメリカ東部で活躍した建築家です。構造と意匠が高度に融合したデザインが特徴で、数多くの歴史に残る建築をアメリカだけではなくインドやバングラデシュなど海外にも残してきました。

 カーンは、多くの大規模プロジェクトを引き受けるさなかにも、小さな個人住宅を何件か手掛けています。その一つがフィッシャー邸です。2つの正方形の平面の一つを45度振って接続したシンプルな平面でありながら、敷地に高低差を利用して上下方向に動きがあります。木の外壁はとてもきれいに手入れされていて、毎年ニスを塗り替えて外壁の自体も取り換えています。

 いやそうだったというべきでしょう。フィッシャーさんは亡くなって、奥さんも引っ越してしまい、今は管理が行き届いていません。いや、どうやら新しいオーナーが・・・。

フィッシャー邸は売りに出されていました 60万ドル

 2011年には、National Trust を通してなんとフィッシャー邸は売りに出されました。価格は、なんど$60万ドルです。日本円では6500万ぐらいでしょうか?お金があって、フィラデルフィアに仕事があれば。と思ってしまいますね。この値段は、都心のマンションならば70平米ぐらいのものと同様です。しかし、メンテナンスにはかなり費用と時間がかかるでしょう。でも興味ありますね。できるならば住んでみたい!そう思う人は多いのでは!

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 日本でいえば、吉村順三の「軽井沢の山荘」が売りに出されているようなものでしょう。それにしても、かの有名なルイスカーンの住宅、引く手あまたなのかと思いきやそうでもないようです。

新しいフィッシャー邸のオーナー

 以下の記事によると、チャールズさんとビアンカさんが新しいオーナーのようです。新しく住むのはどんな感じなのでしょうね。ルイス・カーンの家とはいえ、なんといってもフィッシャーさんのために作った家なのです。何をどこまで、どう変えて良いのか?いやなかなか変えるに変えられないですよね。かといって、中を保存して、そのままの状態を保ちながら住むのはどうなのだろう?きっと住みにくいですよね。

 

<以下のサイトも参照ください>

www.curbed.com

家は住んでこそ

 こうした歴史的に貴重な建物を保存する方法はいくつかあります。

 ひとつは、国などが重要文化財の指定を行うことで補助金から保存を進めていく方法です。しかし、実際にはこれは国がオーナーになるわけではないので、保存には相応のお金がかかる一方で、内部や外部の変更が許可なく出来なくなるなどの縛りが発生します。

 二つ目、ナショナルトラストなどの民間団体が行う場合は、家を訪問型にすることで一定の入場料を取り、そのお金を保存に役立てていく方法です。これは、持続的な保存方法としては最も当てにできるものでしょう!

 三つ目は、だれが人が新しいオーナーとして買い取って実際に住むことです。

 フィッシャー邸の場合は、この最後の策が取られました。

 以下に写真がありますので、見ていただきたいのですが、特徴である外壁は大変残念ながらニスがはがれて、非常に傷んでいました。人がすまない家は、こういう風になるのだと改めて実感します。

 太平洋の島しょ部には「家は生きている」という考え方があります。これは、住んでいる家は更新され、空気が流れ、音が響き、ヒトの出入れが発生し、メンテナンスされます。つまり、新陳代謝が起こりますね。しかし、すまなくなった家は、こうした新しい新陳代謝がなくなます。こうした家には死が訪れます。ナショナルトラストによる保存は、どうなんでしょう?生きているとも言えず、かといって死んでいるわけではない。仮死状態のまま、いろんなひとが訪問するようなイメージでしょうか?

 やっぱり家は人が住んでこそ。新しい住人は、カーンへのリスペクトをもちながらやはり「生きている家」を存続させるべく、新陳代謝を行ってほしい。たまに使うような週末住宅ではなく、実際にがっつり住んでほしい。店長の個人的意見としては、その過程で当然新しい息吹を家に与えるべく変えていっても良いのだと思います。

住所&地図

197 East Mill Road, Hatboro, Pennsylvania
ノーマン・フィッシャー邸  1960-1967(59-66)
Norman Fisher House

 

 

 https://www.facebook.com/FisherKahn/info 

www.facebook.com

写真

 近所に住む人に許可を取ってから、隣の敷地からの写真やフィッシャー邸で撮影した写真です。

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